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CMTについて

疾患名

シャルコー・マリー・トゥース病

患者数

約2000~10000名

有病率は欧米では人口10万人対9.7~82.4人、わが国では人口10万人対10.8人との報告がある。

概要

シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)は、臨床症状、電気生理学的検査所見、神経病理所見に基づいていくつかのサブタイプに分けられます。原因遺伝子が次々と明らかになり、その病態の解明が進んでいます。CMTは、その臨床症状、電気生理学的検査所見、神経病理所見に基づいて脱髄型と軸索型に大別され、脱髄型CMTでは、一般的に神経伝導速度は38m/s以下、活動電位はほぼ正常または軽度低下を示し、腓腹神経所見では節性脱髄、onion bilbの形成を認めます。軸索型CMTでは、神経伝導速度は正常または軽度の低下を示すが活動電位は明らかに低下し、腓腹神経所見では有髄線維の著明な減少を示します。しかし、いずれとも分けられないintermediate CMTも存在します。

原因の解明

これまでに40種類以上のCMT原因遺伝子が特定されています(http://www.molgen.ua.ac.be/CMTMutations)。CMTの約半数はPMP22重複によるCMT1Aと考えられています。脱髄型CMTの原因遺伝子として、PMP22、GJB1、MPZなど、軸索型CMTの原因遺伝子として、MFN2、GAN1、TDP1、APTX、SETXなどが報告されています。同一の遺伝子であっても、異なる臨床型を示す場合があり、中間型CMTも存在します。今後、CMTの効率のよい診断システムの開発、CMTデータベースの構築、オーファンドラッグとしての治療法の開発が期待されています。

主な症状

CMTは、一般的に四肢、特に下肢遠位部の筋力低下と感覚障害を示す疾患ですが、近年の原因遺伝子の解明にともない中枢神経系の障害も含む多様な臨床症状が明らかとなってきています。まれに、四肢近位部の近位筋優位の筋力低下・筋萎縮を示す例もあり、自律神経障害が前面に出るタイプもあります。

主な合併症

CMT全体に共通する一般的な合併症としては、腰痛、便秘、足関節拘縮などが多く見られます。遺伝子異常のタイプによって、声帯麻痺、自律神経障害(排尿障害、空咳、瞳孔異常)、視力障害、錐体路障害、糖尿病、脂質代謝異常症などの合併がみられ、重症例では、呼吸不全を来たし、人工呼吸器を必要とする場合もあります。

主な治療法

CMTの治療には、理学療法、手術療法、薬物治療がありますが、治療薬の開発に関しては(1)神経栄養因子、(2)プロゲステロン阻害薬および刺激薬、(3)アスコルビン酸、(4)クルクミンなどの研究が進められています。今後、遺伝子治療の開発も期待されています。

研究班

平成24年度「希少難治性神経疾患の疫学、病態解明、診断・治療法の開発に関する研究」
(H24-難治等(難)-指定-002)

平成21~23年度「シャルコー・マリー・トゥース病の診断・治療・ケアに関する研究」
(H21-難治一一般-155)